2019年4月19日金曜日

特許や商標登録出願の出願人について

ペンネーム、芸名、雅名等の変名や、 通称名で出願をすることはできません。
権利能力(権利の主体となることができる資格)を有していることが必要です。
したがって、出願人が自然人(個人)の場合、 氏名については戸籍上のものを願書に記載します。
個人事業者が、その屋号(○○商店) 等により出願することも認められていません。この場合、個人名義で出願をすることとなります。民法で定める「権利能力」を有することが必要です。

出願人について
(1) 権利能力(権利の主体となることができる資格)を有していること
 ① 自然人(個人)又は法人でなければなりません。
 ⅰ 任意に組織された法人格のない団体は出願人となることができません。
 ⅱ 出願人が自然人(個人)の場合には、氏名は戸籍上のものを記載します。ペンネーム、芸名、雅名等の変名や通称名をもって出願することはできません。
 ⅲ 個人事業者が、屋号(○○商店)等をもって出願することは認められませんので、このような場合は個人名義で出願します。
 ⅳ 出願人が法人の場合には、法人の名称は登記簿等に登記されている名称及び本店住所を正確に記載し、その代表者の氏名を併せて記載します。
 ② 日本国内に住所又は居所(法人にあっては営業所)を有しない外国人は、下記のいずれかの条件に該当する場合を除き、特許権及びその他の特許に関する権利を享有することができません。
 ⅰ その者の属する国において、日本国民に対しその国民と同一の条件により特許権その他の特許に関する権利の享有を認めているとき(相互主義)
 ⅱ その者の属する国において、日本国がその国民に対し特許権その他の特許に関する権利の享有を認める場合には日本国民に対しその国民と同一の条件により特許権その他の特許に関する権利の享有を認めることとしているとき(相互主義)
 ⅲ 条約に別段の定めがあるとき(パリ条約(2、3条)、知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(2、3条)又は二国間条約等によって認められる国民)

(2) 手続能力を有していること
 ① 未成年者及び成年被後見人並びに被保佐人(特7)
 ⅰ 未成年者及び成年被後見人は、法定代理人(親権者、後見人等)によらなければ手続をすることができません。ただし、未成年者が独立して法律行為をすることができるときはこの限りではありません。未成年者は原則父母が共同で親権者となります(民法818(3))。
 ⅱ 被保佐人が手続をする場合には、保佐人の同意を得なければなりません。
 ⅲ 法定代理人が手続をする場合で、後見監督人があるときは、その同意を得なければなりません。
 ⅳ これら手続能力のない者のした手続は、追認することができます(特16)。
 ② 在外者(特8(1))(日本国内に住所又は居所(法人にあっては営業所)を有しない者)
 在外者は、特許管理人(日本国内に住所又は居所を有する代理人)によらなければ、手続をし、又は特許法若しくは同法に基づく命令の規定により行政庁のした処分を不服として訴を提起することができません。ただし、特許願(特許法第44条第1項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、同法第46条第1項又は第2項の規定による出願の変更に係る特許出願及び同法第46条の2第1項の規定による実用新案登録に基づく特許出願を除く。)、先の特許出願を参照する旨の特許出願における先の特許出願の認証謄本を提出する物件提出書及び欠落補完における優先権主張基礎出願の写しを提出する物件提出書の提出は除きます(特施令1、特施規4の4)。

(3) 特許を受ける権利を有していること
 ① 特許出願人がその発明について特許を受ける権利を有していないときは、当該出願は拒絶されます(特49⑦)。
 ② 特許を受ける権利は、移転することができます(特33(1))。
 ③ 特許出願前の特許を受ける権利の承継は、その承継人が特許出願をしなければ、第三者に対抗することができません(特34(1))。
 ④ 特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者と共同でなければ特許出願をすることができません(特38)。
 ⑤ 特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その持分を譲渡することができません(特33(3))。